屏風の上張り・・・そのⅡ [屏風]
前回の屏風の反対側の上張りの様子です。
まずは、屏風本体に、デザインのラインを下書きします。
無地の紙を、切り張りすることによって模様を出したいと思います。
今回は、パーツパーツにきっての切り張りなので、
全体に塗るのりは、少し濃い目。 壁紙を貼るときくらいの どろり とした糊(画面右)です。
紙の端一寸(約3cm)に塗るのは、いつもどおり、しっかりと濃いのり(画面左)です。
下書きに沿って、アクリルの定規を置き
今回は、柔らかい毛の刷毛で、張ってすぐ撫でます。
紙は、下から張っていって、長い間に(30年とか50年)ほこりが積もらないようにしてます。
今回も、屏風の紙ちょうばんのところに、濃いのりを1寸、付け忘れないようにして下さい。
こちらが完成した屏風です。
ちょっと写真ではわかりにくいかもしれませんが、光の加減で模様に見えます。
以上、屏風の細工張りの様子でした。
梅田 剛嗣
屏風の上張り [屏風]
屏風が完成しました。
上張りをダイジェストでご紹介します。
模様のどの部分を使うか考えて、糊しろ(折り曲げしろ)片方2分5厘ずつの幅を残し
紙を裁断します。
薄糊と、濃いのりを用意します(画面右手が薄糊)。
薄い糊は、見た目、お米のとぎ汁の2~3回目くらいのイメージです。
紙の裏側から、全体に薄糊を満遍なくつけて
紙の回り、約一寸(3cm)くらいに濃いのりをつけます。
これは折り曲げる所がきちんと つくようにするためです。
薄糊の代わりに、水だけをつける人もいますが、水張りだと、梅雨時などの湿気の多い時
ふんわりと上張りの紙が浮いて、見苦しくなることがあります。
屏風の紙ちょうばんの所に、濃いのりを一寸くらい付けておきます。
これをしておかないと、屏風をとじたとき、ちょうつがいの所が水ぶくれみたいに
膨れて不恰好になるので、忘れずこの作業をしてください。
貼るときは、中は撫でずに、周りの折り曲げる所を手のひらで引っ張り押さえるようにして
貼っていくのがコツです。
もうひとつ重要なポイントがこちら。
四隅だけは、入念に引っ張って、きちんとしわを伸ばしておいてください。
四隅に、斜めじわが よりやすいので、要注意!!
貼り終えたら、中が先に乾いてしまわないように(乾くと引っ張って折り曲げた所がはがれる)
水はけで、うっすらと紙を湿らしておきます。
貼り終えたら、折れ釘を使って、屏風の口がきちんと止まって、おさまるように
写真のように、釘を打って固定して乾かします。
明日、反対側を貼る予定です。
裏側は、無地の生成りの和紙を切り張りします。
この様子は次回ブログで~
梅田 剛嗣
屏風の張替え [屏風]
古い屏風の張替えの依頼が来ました。
縁をはずしてサインを見ると、これは平成七年五月に備前のギャラリーで個展をしたときの作品
まずは、へりの紙を折り曲げている所を小刀でそいでいきます。
そうすれば、簡単にはがれるようになってます。
屏風の下張りも、しっかりしていて、紙のちょうつがいも、ちょっと補修するだけでよさそうです。
屏風は、張り替えることを前提にして、張り替えやすいように下張りなどが工夫されてるので
このように簡単にはがすことができます。
これから浮け張りをして、表の紙を張ります。
表紙には、柿渋染めの紙を使うことにしました。
表張りの様子は次回のブログでご紹介します。
浮け張りの様子は、ずいぶん前になるけど、過去ブログにかいてあります。
どんな風に仕上がるのかたのしみです。
梅田 剛嗣
屏風の仕上げ(上張り) [屏風]
それに出す屏風を仕上げました。
白い紙、一色で貼ってくれというご要望だったので、内山手すき和紙、国産楮厚口の紙を貼ることにしました。
べタッと一枚だけ貼ると、何の変哲もない屏風になるので、細工貼りをすることに・・・
まずは、デザインの下書きから・・・
この下書きの線に沿って、紙を裁断していきます。
屏風は、重ね貼りをするときは、必ず、下から張っていきます。
紙全体には、どろっとした、壁を貼るときくらいの粘り気のある糊を使い、
紙の周りの部分、5分~7分(約2cm)くらいには濃いのりを付けます。
貼ったら、紙の上は、そろそろと柔らかい刷毛でなでて、折り曲げる所は、指でしっかり押さえます。
屏風を貼るときに一番気をつけなければならないポイントがあります。 それは・・・
屏風の、紙蝶番(ちょうつがいの所)には、折り曲げる所だけでなく、表の部分にも、1寸(3cm)くらい、
濃いのりを付けておくことです。
こうしておかないと、仕上げた屏風を折りたたんだ時に、ちょうつがいの所に水ぶくれみたいに、
浮いた箇所が出来てしまいます。
上記の点だけ気をつけて、さくさくと貼っていきます
完成したら、折れ釘を使って、二枚の屏風の口が開かないようにして、一日乾かします。
できました~こんな感じになりました
アップで見ると・・・
紙漉きのときの繊維の流れがうまく出て、一枚の無地の紙でも、このように細工張りをすると、
それなりの模様に見えます。
シンプルだし、前にお花も活けれるし・・・・いいかな。
屏風は両面使いなので、反対側には、月のイメージのデザインの藍染めを貼るか
藍染めに銀箔を施したものを貼るか、ただ今検討中です。
今日は、屏風の仕上げ、上張りの様子のレポートでした。
梅田 剛嗣 ℡ 086-231-3371
浮け張り(ふくろ貼り) [屏風]
これは、和紙を使って壁を貼ったりする時にも使えるので、ご興味がある方は是非、ご覧ください。
まず、紙の準備からです。
浮けに使う紙は、2方を喰い裂き(水切り)、2方を、断ち切り(カッターで切る)にします。
何枚か重ねて、定規をあて、竹へらに水をつけてかたをつけます。
一枚だけ、喰い裂きにする場合は、折り目を入れて、筆で水をつけ、ちぎるといいのですが、
何枚か重ねて一度にする場合は、このようにします。
充分、下まで水がしみたら、喰い裂きにします。
次に糊をつける作業に入りますが、断ち切りのほうには濃い糊を、
喰い裂きの方には薄い糊をつけます。
先ず、その糊代を、出します。
一分(3mm)くらいが適当だと思います。
重ねて糊を一度につけます。
喰い先のほうに先ず、つけて・・・
このときの糊の濃さは、10~20倍くらい(量ったことが無いのです)ちょっと粘り気がある程度、
見た感じは、お米の2~3回目のとぎ汁くらいのイメージです。
ひっくり返して
断ち切りのほうに濃い糊をつけていきます。
一枚ずつ、水はけで、湿り気を入れて
一枚とって
屏風に貼っていきます。
このとき撫でるのに、濃い糊のついたほうを、先に撫で、
薄い糊がついたほうに空気としわを押し出すようになでていってください。
断ち切りになったほうの上に、喰い裂きが来るように重ねて張ります
重ねしろは、一寸(3cm)くらいを目安にして下さい。
張り終わると、喰い裂きの所はほとんど段差もなく、きれいな仕上がりになります。
この工程を、もう一度、そうです、2重にうけを張ります。
そうすると、下張りのちょっとしたでこぼこや、汚れがまったく表に響かず、
とても美しい仕上がりになります。
壁を貼る時も、このように二重うけにしておくと、とてもきれいで長持ちです。
今日の作業は、「四方糊」で、うけを貼るという作業でした。
これで屏風の下張りは完成です。
長い間お付き合いどうもありがとうございました。
質問なり何なり、コメント、電話でお寄せくださいませ。
梅田 剛嗣 ℡ 086-231-3371
屏風の紙蝶番(ちょうつがい) [屏風]
その前に、仕上げた時にきれいに見えるように、「角のヘリとり」をします。
このように、出刃包丁を使って、かどだけ紙を薄くへぎ取ります。
そうすると、最後に仕上げの表紙を貼った時、きちんと角が出てきれいに見えるのです。
この作業が済んだら、屏風二枚を、釘で縫い合わせて、カンナをかけます。
カンナをかけて、直角を出します。
きちんと直角が出てないと、紙蝶番をつけて表裏ひっくり返した時に、ぴったり口を閉じません。
紙蝶番は、表裏がひっくり返るのが特徴です。
合い印をつけて
ちょうつがいの大きさに合わせて、のこ目を入れます。
ちょうつがいの大きさは、長いほうは、1尺(30cm)まで、上下は、半分の大きさにします。
蝶番紙を貼る前に、蝶番に使う紙と同じもので、「くるみ」を貼ります。
この作業をしない人もいます(師匠も、しなかった)。
ただ、これをしたほうが、後の仕事がしやすいので、やったほうがいいです。
さて、ちょうつがいの紙をつけます。
屏風のほうに糊をまずつけて・・・
ココがポイント、髪の毛一本分くらいののりを指でしごき取ります。
そして、紙を貼った後、乾いてから、髪の毛一本分「あそび」を作ります。
これは上張りをしたときに、微妙にうまく収まるような工夫です。
新聞紙を八つ折にして、ちょうつがいを組んでいきます。
互い違いに組むことによって、表裏、ひっくり返って、リバーシブルで使えます。
仕組みを説明すると、ややこしくて、誤解を生んでもいけませんので、省略させて頂きます。
さて、次はいよいよ、浮け張り(袋張り)です。
これは、壁の下地にも使えるすぐれものの技術・・・いろんな応用が利きます・・・ので
お楽しみに~
梅田 剛嗣
℡ 086-231-3371
屏風の下張り、ミノ押さえと、増し釘 [屏風]
ミノ張りをした上に、補強の意味で、ミノ押さえという作業をします。
骨縛り押さえと同様、少し厚めの楮紙に全面に糊をつけて、貼ります。
ここでのポイント。とても大切なことなのですが、貼る時は、中から外へ、空気を抜くように。
これは、基本中の基本です。 が、このミノ押さえの場合はその後の作業が大切です。
このように、端から、中央部分に向かってたるみを寄せるようにします。
要するに、外から内側に向かってなでるのです。
このようにするのは、ミノ張りをしたときだけです。
こうしておかないと、框(かまち)のほうにしわが残ってしまいます。
さて、ここまでで、下張りの紙は、6枚張ったことになります。
こりゃ相当の厚みになって、「屏風の真ん中が太鼓みたいに膨らむんじゃないの?」と
思われる方がいらっしゃるかもしれませんね・・・そうなんです。そのために・・・
かまちのここの部分。「返り取り」という作業をしています。
骨を作ってくれる建具屋さんで、カンナをかけて中央に向かって斜めに削ってあるのです。
こうしておいて、下張りの紙を、一番下は、一番内側に近いように・・・だんだん外に重ねるように・・・
貼っていってます。
それで、紙の厚みをくわえて最終的に「つらいち」・表がまっすぐになるように、してます。
ミノ押さえが乾いたら、増し釘を打ちます。
かまちどおしが交わっている所、に鉄の釘を打ち込んで補強します。
このとき使う釘は、アタマをつぶしておきます。
そうしないと、框(かまち)の木が割れちゃうからです。
すべての下張りが終わったので、ツノを切って落とします。
ツノは、下張りをして、乾かす時に必要なので、この時まで残しておきます。
増し釘を打ち終わったら、隅切り。
屏風の四つの角に、刃物で、切れ込みを入れておきます。
こうしておかないと、上張りをしたときに、四隅に しわ が来てしまいます。
いよいよこの後は、紙蝶番をつける作業と、「浮け張り」の作業を残すのみです。
最後までお付き合いくださいましてどうもありがとうございました。
ご質問等何なりと、コメント、お電話で受け付けます。
どうぞよろしくお願いします。
梅田 剛嗣
℡ 086-231-3371
屏風の下張り・・・みの張り [屏風]
少しややこしいので、写真が多いですが、よかったらご覧くださいませ。
まず、前回のブログでみの張り用につないだ下張りの紙を用意します。
そして、屏風の幅に合わせて、そのつないだ紙を三分の一と三分の二の大きさに切ります。
さあ、みの張りです。
骨縛り押さえが終わった屏風に、一番最初に糊をつける場所は、
屏風の中央。
それから、ここからあとは、屏風の骨の一番外側の太い骨の上にだけ糊をつけます。
外の一番太い骨は、「框(かまち)」といいます。
框に糊をつけて、まず、三分の一に切った紙を貼ります。
次に、また框の上に糊をつけて、上に重ねて、三分の二に切った紙を貼ります。
それから、巻いた紙を同様にして貼っていきます。
それからあとは、写真のように、三分の一ずつ、ずらしながら貼っていきます。
そうすることによって、すべての部分が、3枚づつ重なって下張りが完成することになるのです。
ややこしいかなぁ・・・
こんな風に、両端だけ糊がついて、真ん中は浮いた状態。
浮いているので見た目も、実際触っても、やわらかい仕上がりになります。
しかも、三枚づつ、紙が重なっているので、軽くて丈夫。
昔の「みの」=レインコートみたいなもの・・・もしくは、「よろい」のようなつくりであることから、
この「みの張り(よろい張り)」という名前になりました。
おさらいです。
まず、框の上に糊をつけて
三分の一ずつずらしながら紙を貼る
両端だけ糊がついているので、それをしっかり押さえて
最後に、幅に合わせて切る
この作業のくり返しです。
みの張りが終わると、みの縛り、みの張りの上に楮紙をベタで全体に糊をつけて貼ること・・をします。
この作業は、骨縛り押さえとなんら代わりがないので、省略する予定です。
この段階でほぼ、下張りは終わり。
これだけの下張りをしておくと、丈夫で長持ち。
子供が少々ぶつかったくらいでは破れません。
昭和9年の岡山の大洪水の時は、下張りした屏風を浮橋のようにして、その上を大人たちが踏んで歩いて避難したという話を、今は亡き師匠から何回か聞かされました。
こういう、伝統的な、技術は是非後世に伝えていきたいと思い、ブログに記録に残しました。
最後に、仕上げの工程がありますので、またしばらくのちにブログにアップします。
長々とお付き合いありがとうございました。
梅田 剛嗣
℡ 086-231-3371
屏風の下張り、骨縛り押さえ [屏風]
前回、二枚をあわせたまま骨縛りした屏風骨を、二つに分けます。
貼ってないほう側の骨縛りをして、乾かします。
次の作業は、骨縛り押さえ。
あ、その前に、釘シメの作業がありました。
屏風の骨の組子を止めている竹釘を、ポンチで少し叩き込みます。
こうすることにより、最終段階でカンナをかけるとき、カンナの刃が、こぼれるのを防ぎます。
また、全体を引き締めることにより、上張りをしたときにしわが来ないようにする意味もあります。
さて、骨縛り押さえです。
少し厚めの楮紙を使い、全体に糊をつけて、膏薬張り(シップを貼るような張り方)にします。
これで、骨の形を整えていた紙の補強をします。
ここまでの作業を、一枚の厚い漉き合わせ紙(ドーバリ)を使って、略式にする人もいます。
次なる作業は、下張りのメインイベントである、ミノ張り(よろい張りともいいます)です。
そのミノ張りに使う紙の下準備をします。
このように、下張りに使う紙を適当な大きさに切って、無駄が出ないようにつなぎ合わせておきます。
こんな風に巻紙のように長くつないでおくのです。
これの使い方は次回に・・・
今日は下張りの第二段階の様子でした。
梅田 剛嗣
℡ 086-231-3371
屏風の下張り [屏風]
今日は、屏風を作る様子を下張りの段階から記録に残していきたいと思います。
これが屏風の骨です。
このように何枚か竹釘で縫い合わせて作ってくれます。
今回は二枚折を作るので、二枚ずつに分けます。
紙を貼る前にする作業は、角の継ぎ合わせたところの段差をなくすことです。
このように切り出し小刀で段差がなくなるように少しだけ削ります。
二枚折の場合、二枚を竹釘で縫い合わせたまま、外側から貼ります。
まず、用意した紙に水はけで、水をして・・・
サンのほうに糊をつけて、紙を貼ります。
ちょうど障子に障子紙を貼る要領です。
紙に水をするのは、紙に水をすることによって、少し紙が伸びます。
伸びたのを貼って、乾いたら、ピンとまっすぐ貼れるからです。
余談ですが、最近の障子紙の中には、「レーヨン入り」があります。
これは、水をするとちぢむ性質があるので要注意。 乾いたまま貼ってください。
二枚合わせた外側に紙が貼れたら、陰干しで一日乾かします。
これが、最初の下張り。 「骨縛り」という作業です。
4枚折の場合、4枚縫い合わせたまま、6枚折だと6枚縫い合わせたまま、外側から貼ります。
乾いてから、竹釘を抜いて、反対側を貼っていきます。
これは、屏風が完成した時、狂いなくきちんと綴じるようにするためだと師匠に聞きました。
今日は、ここまで・・・お付き合いありがとうございました。
次回は、釘シメと、骨縛り押さえという段階のレポートの予定です。
梅田 剛嗣
℡ 086-231-3371