SSブログ

屏風の下張り・・・みの張り [屏風]

今日ご報告するのは、下張りのメインイベント、「みの張り(=よろい貼り)」の様子です。
少しややこしいので、写真が多いですが、よかったらご覧くださいませ。

まず、前回のブログでみの張り用につないだ下張りの紙を用意します。
そして、屏風の幅に合わせて、そのつないだ紙を三分の一と三分の二の大きさに切ります。

22.4.1 031.jpg

さあ、みの張りです。
骨縛り押さえが終わった屏風に、一番最初に糊をつける場所は、

22.4.5 004.jpg

屏風の中央。
それから、ここからあとは、屏風の骨の一番外側の太い骨の上にだけ糊をつけます。
外の一番太い骨は、「框(かまち)」といいます。
框に糊をつけて、まず、三分の一に切った紙を貼ります。

22.4.1 033.jpg

次に、また框の上に糊をつけて、上に重ねて、三分の二に切った紙を貼ります。

22.4.1 034.jpg

それから、巻いた紙を同様にして貼っていきます。

22.4.1 041.jpg

それからあとは、写真のように、三分の一ずつ、ずらしながら貼っていきます。
そうすることによって、すべての部分が、3枚づつ重なって下張りが完成することになるのです。
ややこしいかなぁ・・・

22.4.1 044.jpg

こんな風に、両端だけ糊がついて、真ん中は浮いた状態。
浮いているので見た目も、実際触っても、やわらかい仕上がりになります。
しかも、三枚づつ、紙が重なっているので、軽くて丈夫。
昔の「みの」=レインコートみたいなもの・・・もしくは、「よろい」のようなつくりであることから、
この「みの張り(よろい張り)」という名前になりました。

おさらいです。

まず、框の上に糊をつけて
22.4.5 006.jpg
三分の一ずつずらしながら紙を貼る
22.4.5 007.jpg
両端だけ糊がついているので、それをしっかり押さえて
22.4.5 016.jpg
最後に、幅に合わせて切る
22.4.5 018.jpg

この作業のくり返しです。
みの張りが終わると、みの縛り、みの張りの上に楮紙をベタで全体に糊をつけて貼ること・・をします。
この作業は、骨縛り押さえとなんら代わりがないので、省略する予定です。
この段階でほぼ、下張りは終わり。
これだけの下張りをしておくと、丈夫で長持ち。
子供が少々ぶつかったくらいでは破れません。
昭和9年の岡山の大洪水の時は、下張りした屏風を浮橋のようにして、その上を大人たちが踏んで歩いて避難したという話を、今は亡き師匠から何回か聞かされました。
こういう、伝統的な、技術は是非後世に伝えていきたいと思い、ブログに記録に残しました。

最後に、仕上げの工程がありますので、またしばらくのちにブログにアップします。

長々とお付き合いありがとうございました。

                                     梅田 剛嗣
                                     ℡ 086-231-3371
 

nice!(7)  コメント(10) 
共通テーマ:アート

nice! 7

コメント 10

chako

軽いのにすごく丈夫そうですね。
紙って意外な粘りや引きがあり、重ねるととても強いんですね。
行程の多さに驚きでした!
by chako (2010-04-06 01:16) 

TSUYO

chakoさま、ナイスとコメントありがとうございます。
屏風作りはほとんどが下張り、つまり見えないところにどれだけ手を入れるかにかかってるといって過言ではありません。
お人形や陶器も、土を練るところからですよね~。
お互い大変でございます(笑)。
by TSUYO (2010-04-06 14:47) 

gwan3

へぇ~!そうなっているんですね。
知恵ですね^^
by gwan3 (2010-04-06 15:59) 

TSUYO

gwan3さま、ナイスとコメントありがとうございます。
そうなんです。昔の人たちの知恵でございますww
gwan3さんは、人物や静物などいろんな絵を描かれるんですねw
by TSUYO (2010-04-06 16:17) 

dororo

しばらくパソコンしてなかったので、一気に読みました。
面白いですねぇ。
ここまでの段階でまだ下張りなんですか?
すごい。
この先どんな作品になるか楽しみにしています。
by dororo (2010-04-07 23:34) 

TSUYO

dororoさま、ナイスとコメントありがとうございます。
ご興味を持って頂いてありがとうございます。
これから、ベタ張りをして紙ちょうつがい をつけて、もう2枚浮け張りという下張りをしたら、下張りの完成です。
浮け張りの様子は、いろんなことに応用できると思うので(例えば、壁を貼る時の下張り用に)後日アップする予定です。
by TSUYO (2010-04-08 09:39) 

雉虎堂

なんという複雑な工程(ё_ё;)
しかもそれが全部見えないところというのが
職人の技らしくて最高にカッコいいです!!

製本教室では紙の目を縦目にそろえるよう教わるのですが
屏風や襖の場合、紙の目はそろえるんでしょうか。
私は和紙の紙の目を読むのが苦手なんです(>_<)
最後はなんかこっち向きかな~って感じで作っちゃいます(^^ゞ
by 雉虎堂 (2010-04-10 10:23) 

TSUYO

雉虎堂さま、ナイスとコメントありがとうございます。

うっ、うれしはずかしです・・・褒めて頂いてありがとうございます。
そうですね、製本の、洋紙・・・紙のタテ目、横目が大事だと聞いたことがあります。
和紙にも縦横あります。紙の強さがかなりちがうのと、伸び率も少しちがうかもしれません。
表装(掛け軸)を作る場合は、タテ目を使って裏打ちをします。
屏風や襖の場合、ちょうつがいの紙だけ、縦横は、厳密にしますが、そのほかのところは、気にせずに使います。

製本も、見えないところに手間をかけて、そこをしっかりしないと、仕上げに影響してくるのは、同じではないでしょうか・・・。
お互い頑張りましょうww
by TSUYO (2010-04-10 15:21) 

まーちん

こんにちは、和紙にも縦横あるのですね。
〆(. . )フムフム
職人さんは 見えない所にも使い手に考慮して仕事するもんだとよく言い聞かされてきましたが、こうして拝見するとなるほどなって思います。

ちなみに私も用紙の縦方向がよくわからないので、製版屋のくせに毎回印刷の仕上りがどうして悪いのか理解できないでいました。(´∀`A;)アセアセ
バイトクビにるのも時間の問題ですなwww


by まーちん (2010-04-22 00:43) 

TSUYO

まーちんさん、ナイスとコメントありがとうございます。

アセアセ(・。・; バイトクビになっちゃいけませんよ~ww
まーちんさんも、いろんな細かい仕事がすきそうですね~ww
ブログ読むのいつも楽しみにしてます。
表具の世界は、先人の知恵が、何百年となく積み重ねてきてありますので、きちんと受け継いで、後世に伝えていかねば・・・と思ってますww
by TSUYO (2010-04-22 14:51) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。