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屏風の下張り、ミノ押さえと、増し釘 [屏風]

いよいよ屏風の下張りも完成に近づいてきました。
ミノ張りをした上に、補強の意味で、ミノ押さえという作業をします。

骨縛り押さえと同様、少し厚めの楮紙に全面に糊をつけて、貼ります。

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ここでのポイント。とても大切なことなのですが、貼る時は、中から外へ、空気を抜くように。
これは、基本中の基本です。   が、このミノ押さえの場合はその後の作業が大切です。

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このように、端から、中央部分に向かってたるみを寄せるようにします。
要するに、外から内側に向かってなでるのです。
このようにするのは、ミノ張りをしたときだけです。
こうしておかないと、框(かまち)のほうにしわが残ってしまいます。

さて、ここまでで、下張りの紙は、6枚張ったことになります。
こりゃ相当の厚みになって、「屏風の真ん中が太鼓みたいに膨らむんじゃないの?」と
思われる方がいらっしゃるかもしれませんね・・・そうなんです。そのために・・・

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かまちのここの部分。「返り取り」という作業をしています。
骨を作ってくれる建具屋さんで、カンナをかけて中央に向かって斜めに削ってあるのです。

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こうしておいて、下張りの紙を、一番下は、一番内側に近いように・・・だんだん外に重ねるように・・・
貼っていってます。
それで、紙の厚みをくわえて最終的に「つらいち」・表がまっすぐになるように、してます。

ミノ押さえが乾いたら、増し釘を打ちます。

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かまちどおしが交わっている所、に鉄の釘を打ち込んで補強します。
このとき使う釘は、アタマをつぶしておきます。

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そうしないと、框(かまち)の木が割れちゃうからです。
すべての下張りが終わったので、ツノを切って落とします。

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ツノは、下張りをして、乾かす時に必要なので、この時まで残しておきます。
増し釘を打ち終わったら、隅切り。

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屏風の四つの角に、刃物で、切れ込みを入れておきます。
こうしておかないと、上張りをしたときに、四隅に しわ が来てしまいます。

いよいよこの後は、紙蝶番をつける作業と、「浮け張り」の作業を残すのみです。

最後までお付き合いくださいましてどうもありがとうございました。
ご質問等何なりと、コメント、お電話で受け付けます。
どうぞよろしくお願いします。

                                          梅田 剛嗣
                                         ℡ 086-231-3371

タグ:屏風
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コメント 4

chako

「ひぇ〜〜〜!」の行程ですね〜
返り取りなど、よく考慮された仕組みで凄いです!
根気のいるお仕事でしょうが、お身体ご自愛ください!!!
by chako (2010-04-22 23:29) 

TSUYO

chakoさま、ナイスとコメントありがとうございます。

いつもブログ読んでくださってありがとうございます。
先人の知恵ですね。本当によく出来てます。
体だけは丈夫です(笑)。chakoさんもイベントやお教室、これから大変だと思いますが、頑張ってくださいませ。
by TSUYO (2010-04-23 07:07) 

雉虎堂

すごいな~これだけの大きさの紙を
たるみもしわもなく、空気も入らないで
張り合わせることができるなんて(ё_ё;)

質問なんですが、こうした複雑な工程の作品を
作るときに失敗することってありますか
失敗したばあいは一から作り直しですか?
今、6月の豆本の展示即売会に向けて
作品の量産をしているのですが、
10冊分の材料で結局出来るのは6、7冊
カッターで切りそこなったり糊をつけすぎたりして
必ず何冊かダメにします
私が作っているのは工程が単純な豆本なので
もう潔く捨ててしまいますが、
これだけ工程の複雑な作品だと
そうもいかないですよね。

失敗しないのが職人?
失敗してもリカバリできるのが職人でしょうか(-。-)??
by 雉虎堂 (2010-04-23 07:47) 

TSUYO

雉虎堂さま、ナイスとコメントありがとうございます。

う~ん、最初はやっぱり失敗だらけです。
師匠からは、「失敗した時にどれだけそれを直す力があるか、うまく修復できるか、その知識と腕があるか、が、本職(プロ)というものだ。」
と教わりました。
8年間修行しました・・・なので失敗は数知れず(笑)。
失敗するから上手になることが出来、経験をつんで身につきました。
下張りの段階での失敗については、ほとんどがやり直し可能です。
捨てるようなことはしません。
最終段階の上張りでは、やはり失敗すればやり直しです。
失敗を、うまくごまかす・・・と言ったら語弊がありますが、失敗した時に、あわてず、さわがず、どうしたら一番うまくいくか、考えます。

失敗も、いい経験ですよ~wwお互い頑張りましょうww

by TSUYO (2010-04-23 11:48) 

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